国際標準規格 Wi-SUN FANとは?

Wi-SUN FAN(Wireless Smart Utility Network for Field Area Network profile)は、次世代スマートメーターや流通オートメーション、家庭用エネルギー管理などのアプリケーション向けのメッシュ型無線規格です。

また、Wi-SUN FANは、オープンで標準なアーキテクチャを採用すると共に、世界的な規模でさまざまな産業におけるベンダーが同一の規格で実装しています。従ってベンダーに依存せず異なるベンダー同士の高い相互接続性があり、マルチベンダーの相互運用が可能な製品として多くのユーティリティ企業で採用されています。
スマートシティでは、スマート街路灯、駐車システム、交通管理など幅広いアプリケーションに対応し、農業や建物の健全性や資産の監視など、民間だけでなく自治体に向けてシームレスに相互運用出来る異なるサプライヤから提供される製品でシステムを構築することができます。
LPWA(Low Power Wide Area)の中でもWi-SUN FANはマルチホップ(多段中継)機能が大きな特長です。特に建物の多い都市部では電波の届きにくい不感地帯ができてしまいますが、マルチホップ機能により、不感地帯をカバーし、広域な通信エリアが実現できます。さらには伝送速度もIoT通信に適した速度であるため“ちょうどいい”無線通信と言えます。

導入事例

他のLPWAとの違い

Wi-SUN FAN Sigfox LoRaWAN ELTRES ZETA
ネットワーク種別 自営網 公衆網 公衆網、自営網 公衆網 自営網
通信速度 最大300kbps
(FAN1.1 OFDM対応で
2.4Mbpsまで拡張)
送信100bps
受信600bps
最大37.5kbps 送信のみ80bps 100bps~50kbps
通信方向 双方向 ほぼ上り単方向 単方向/双方向 上り1方向 双方向
データサイズ
/送信頻度
無制限 / 無制限 12byte/回
上り 140回 下り 4回/日
11-242byte/回
無制限
16byte / 回
送信タイミング固定
プロトコルによる無制限
長所 マルチホップによる
広域カバー
(最大24ホップ)
長距離通信が可能
(最長50km)
通信距離約10~20km 超長距離通信
高速移動体
(100km/h以上)
でも利用可能
マルチホップによる
広域カバー
(最大4ホップ)
通信距離 25km 50km 10~20㎞ 100km以上 2~10km
利用用途例 スマートメーター
スマート街路灯
温度管理
工場内通信
物流管理
農業
見守り
温度管理
防災ネットワーク
ガスメータ
移動体追跡
各種遠隔監視
ビル監視
漏水検知
熱中症モニタリング

近日登場! Wi-SUN FAN Ver 1.1

現在、仕様策定が進められているWi-SUN FAN Ver 1.1 では、次の機能拡張が実装されます。

  • IEEE 802.15.4 2020 OFDM に対応することにより、
    高速・大容量、長距離通信を実現
  • 低消費電力対応による電池駆動が要求される
    アプリケーションへの対応

なぜスマートシティに最適か?
スマートシティでの利用に適したWi-SUN FAN

通信速度が速く、比較的大きなデータの双方向通信が可能

※ 無線でのソフトウェア更新(OTA)にも十分に対応

多段のマルチホップにより、広いエリアをくまなくカバーすることが可能

自営網での通信なので、ランニングコストが不要

ビルなどの障害物が多く、また経年で障害物の状況が変化する都市部での通信に最適

※ マルチホップメッシュネットワークにより、自動的に障害物を回避する経路を選択可能であるため

長期間に渡りサービス提供しなければならない用途に対応可能

※ OTAによるソフトウェア更新に対応可能であるため

さまざまなセンサデータを同時に収集する必要性がある場合に最適

※ 送受信できるデータサイズに制限がないため

データの収集だけではなく末端の装置の制御も可能

※ 通信が一方通行ではなく、双方向かつ比較的遅延の少ないデータ通信が可能であるため

マルチホップ機能とは

マルチホップ機能により広範囲のエリアをカバー

Wi-SUN FANでは、ネットワーク層(レイヤ3)にてマルチホップ転送機能を実装しています。以下の図に示すように複数のPAN(Personal Area Network)を構成して運用することができます。用途によってPANで分割することにより柔軟にシステムを構築することが可能になります。それぞれのPANは、WANとの接続を行うためのゲートウェイとしてBorder Routerがあります。マルチホップはLeaf NodeからRouter Nodeを経由し、Border Routerへの転送で実現しています。一対のNode間は920MHz帯特定小電力無線の特性として見通しで数百mから1kmの遠距離通信が可能なことから、非常に広範囲のエリアをカバーすることができます。

京都大学との連携

株式会社日新システムズは、京都大学 大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループと共同でWi-SUN FAN(Field Area Network)の実運用に近い環境で必要となる大規模でかつ高密度な接続試験として、無線機1,000台による多段中継接続試験などの検証を行っています。

スマートメーターの実運用を想定した通信量のデータを各無線機から送信し大規模高密度環境においても高品質な通信を実現させることにさせることに成功しました。 今後Wi-SUN FANがスマートメーターやスマートシティで実運用される際に必要となる通信パラメータの設定に関する検証を進めています。

Wi-SUN FAN搭載USB基板

概要

Wi-SUN FAN搭載 USB基板は、Wi-SUN FANを使用したい多くのニーズに応えるための汎用的なものです。
USB接続で給電と制御を行えるため、多くのデバイスと簡単に接続することが可能です。

チップアンテナ搭載タイプ

チップアンテナが標準搭載されており、
外部アンテナ不要でそのまま使用可能。
(外部アンテナも接続可能)

※外部アンテナは付属しておりません。

技術資料