• 2023年6月30日

分散型再生可能エネルギー情報を
収集・可視化・分析する実証実験の成果公表
~リアルタイムに発電・需要やCO2 排出量の予測を実現~

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)、株式会社日新システムズ(以下:日新システムズ)、株式会社ネクステム ズ(以下:ネクステムズ)の3 社は、分散型再生可能エネルギー電源注1(以下:分散型再エネ電源)や水道などの各家庭 インフラに関する情報を収集・可視化・分析する情報流通基盤の実証実験を沖縄県宮古島において2022 年7 月~ 2023 年3 月まで実施しました。成果として、島内の約1,000 需要家に設置した分散型再エネ電源機器(太陽光5MW、 蓄電池、ヒートポンプ給湯機等)で電力・水道注2 の需要量や供給量等をリアルタイムに収集・可視化し、翌日・翌々日の 発電・需要予測やCO2 排出量予測が実現できることを確認しました。

今後は、実証成果を踏まえ、カーボンニュートラルやエネルギーの地産地消を目指す地方自治体に対して、エネル ギー情報を活用した再生可能エネルギー自給率最大化やレジリエンス強化、地域経済循環、暮らしの質向上に貢献し、 地域創生とサービス創出を目指し、ユースケース発掘や分析高度化、機能拡充を推進します。

■ 実証の背景と目的

2050 年に向けたカーボンニュートラル宣言や、災害および資源価格の上昇などによるエネルギー安定供給への懸念 を踏まえ、地方自治体では積極的に脱炭素化を推進し、再生可能エネルギーの地産地消への取り組みが加速していま す。
一方、これらの取り組みを推進する地方自治体では、脱炭素実績値の詳細把握や、エネルギーの地産地消に向けた エネルギー制御・調整システムの活用などが喫緊の課題となっています。 これらの課題を解決するには、全体最適の視点から、企業、学校、地域住民などのステークホルダーと相互にデータ を共有することが重要となります。
この状況に対し、NTTデータ、日新システムズ、ネクステムズは、データの信頼性確保および多種多様な粒度のデー タ収集・管理が必要不可欠になると考え、宮古島において、2022 年7 月から2023 年3 月まで、NTTデータの「グリー ン分散エネルギー情報流通基盤」、日新システムズの「エリアアグリゲーションシステム注3」、ネクステムズの「分散型再エ ネ電源機器」を相互に連携しながらエネルギー情報を収集・可視化・分析する実証実験を行いました。

■ 実証の結果

実証期間 2022年7月~2023年3月末
実証エリア 沖縄・宮古島
実施内容 効率的なエネルギーの制御・調整に向け、地域内での電力使用量や分散型再エネ電源情報をリアルタイムで集約・可視化

【実施内容】

宮古島に設置されている約1,000 需要家の電力使用量や分散型再エネ電源を収集し、情報流通基盤上に集約・可視化。

【実施結果】

電力の需要量や再生可能エネルギー発電量のトレンド、蓄電池蓄電量の状態把握について、需要家単位、地区単位、市単位でリアルタイムに可視化を実現。

住民に対して脱炭素に資する行動変容を促す予測情報や直感的なユーザーインタフェースの提供

【実施内容】

情報流通基盤上にある実際の需要家の分散型再エネ電源情報と、API 連携によって取得した短期気象予測データ、需要予測データ、発電予測データの掛け合わせを実施。翌日や翌々日の再生可能エネルギー割合やCO2 排出量の予測を実施。

【実施結果】

需要家単位やエリア単位で発電・需要実績や予測情報を、4D地図基盤注4 上にリアルタイム表示を実施。計測した情報は、1分毎に更新され、天候や時間の変化を考慮して過去~翌日翌々日までを表示。地域性の偏りや需要家単位の傾向を把握できることを確認。(画面イメージは、図1,図2 参照)

統合的に情報を表示し、予報をもとに住民が脱炭素に資する行動ができるような基本的な情報提供を実現。

地域における脱炭素状況の多面的な把握に向けた需要家インフラ情報(電力・水・ガスなど)の取得手法を検討および検証

【実施内容】

CO2 排出量可視化を行う上では粒度細かくそれらインフラ情報を取得することが必要であり、どの程度の時間間隔か、またそれら取得をどのように行うべきかの検討を実施。

具体的には、水道使用量の把握を行う手法の検討を実施。非破壊で設置可能なセンサーを需要家宅に設置した上で、1 分周期で日新システムズおよびネクステムズが設置している既設ゲートウェイ機器を経由して情報流通基盤上に集約。センサー計測~ゲートウェイ~エリアアグリゲーション~情報流通基盤の一連の流れで取得するモデルの検証を実施し、リアルタイムでデータ取得できることを確認。(センサー設置イメージは、図3 参照)

【実施結果】

CO2 把握に適した需要家インフラ情報の収集が可能となり、新たなデータ活用につなげることができることを確認。

各社の役割(各社連携イメージは図4 参照) NTTデータ

グリーン分散エネルギー情報流通基盤の提供

分散型再エネ情報の収集

分散型再エネ電源の発電・消費状況をリアルタイムに収集

太陽光、蓄電池等のリソースから、30 分値や瞬時値などの詳細データを収集

分散型再エネ情報の見える化と分析

町目、街区等のさまざまな単位で、再エネ自給率を可視化

発電・消費状況・地域特性(気候・建物等)に応じて、設備導入ポテンシャル等を分析

日新システムズ

エリアアグリゲーションシステムの提供

分散型再エネ電源機器、および水流量計測機器からの情報収集とスケジュール制御

収集した情報をグリーン分散エネルギー情報流通基盤へAPI 連携にて提供

ネクステムズ

実証のフィールドおよび分散型再エネ電源機器の提供

自治体や住民と同意形成

宮古島に設置されている分散型再エネ電源機器を提供

  • 図1:<地区単位>明日、明後日のグリーン予報(再生エネルギー使用率)注5

  • 図2:<需要家単位>4D 地図基盤上での予測データとCO2 換算

  • 図3:需要家宅センサー設置イメージ

  • 図4:各社連携イメージ

■ 今後について

脱炭素先行地域注6 を目指す地方自治体に対して、実証内容に基づき取り組みを推進します。

► 再エネ自給率最大化に向け、需要家や発電設備保有者の発電・消費状況に応じた、蓄電池・EV を含むエネルギー制御・調整のための制御モデルの高度化

► 脱炭素先行地域の自治体が目指す姿に近づけるための、インフラ事業者(電力・ガス・水など)やアグリゲータとの情報連携のための接続コネクタの拡充など、情報流通基盤の整備およびその推進

► エネルギー情報をベースに、他データも掛け合わせて、脱炭素推進、暮らしの質向上に向けた行動変容の促進など、地域創生へ貢献できる付加価値サービスの探索

■ 宮古島市エコアイランド推進課長 下地 洋子様からのコメント

分散型再生可能エネルギー等の情報を収集・可視化・分析する実証実験について、可視化された画面上では、非常 に分かりやすくリアルタイムデータを把握することができており、このデータを本市の脱炭素社会の推進やその他施策、 及び島内での経済活動等にも利用できると期待しています。

注釈

注1:分散型再生可能エネルギー電源とは、太陽光発電や風力などの再生可能エネルギーや、再エネが充電された蓄電池など住宅や公共、産業などで 活用され分散配置される電源群の総称です。

注2:水道データについては、データ取得モデルや情報流通基盤との連携方策の検討を行った上で、試験的にモデル需要家2 個宅にセンサーを設置し検証を行いました。

注3:「エリアアグリゲーション」は日本国内における株式会社ネクステムズの商標です。エリアアグリゲーションシステムとは、再生可能エネルギーの拡大で 大きく変化するエネルギー事業環境へ対応するために、蓄電池、エコ給湯機、EV 充電器など複数のエネルギーリソースを有効活用し余剰電力を効率制 御する電力需給制御システムです。

注4:4D 地図基盤とは、ヒト・モノ・コトの様々なセンシングデータをリアルタイムに収集し、「緯度・経度・高度・時刻」の4 次元の情報を高い精度で一致・統 合し可視化する地図基盤です。

注5:国土地理院 地理院地図(電子国土Web)をもとに加工して作成しています。

注6:脱炭素先行地域とは、2050 年カーボンニュートラルに向けて、民生部門(家庭部門および業務その他部門)の電力消費に伴うCO2 排出の実質ゼロ を実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030 年度目標と整合する削減を地域特性に応じ て実現する地域を指します。

※文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

■ 本件に関するお問い合わせ

株式会社日新システムズ
京都市下京区堀川通綾小路下る綾堀川町293-1 堀川通四条ビル
TEL:075-344-7977
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