こんにちは!「にっしんSUN」です。
前回までのブログは読んでいただけましたか?
まだ読んでいないよーという方はこちらから読んでみてください。
第7回はWi-SUN FANの特長を活かしたアプリケーション例です☆
鞍馬せんせい。今回は何をするのですか?
第5回の「Wi-SUN FANで実データを送ってみた」では
データの送受信とサンプルプログラムを紹介しましたね。
今回はWi-SUN FANの特長を活かした画像転送のアプリケーション例を紹介します。
Wi-SUN FANの特長
以前、にっしんSUNに紹介してもらった
Wi-SUN FANの特長をおさらいしてみましょう。
Wi-SUN FANには下記の4つの特長があると説明しました。
☆ マルチホップメッシュネットワーク
☆ 920MHz帯を使用した特定小電力無線(日本国内)
☆ 周波数ホッピング
☆ 国際標準規格
詳しくは、第2回「Wi-SUN FANの特長」をご覧ください。
今回はまだ紹介できていない特長についてお話します。
まだまだ特長があるんですね。
鞍馬せんせいお願いします!
☆通信速度が速く双方向通信が可能!
Wi-SUN FANは通信速度を50Kbps、100Kbps、150Kbps、300Kbps(※1)から選択でき、"LPWAの通信規格の中では通信速度が速く、比較的大きなデータの双方向通信が可能"という特長があります。
Wi-SUN FANと電波法
日本国内で使用するためには電波法に準拠する必要があり、あくまでも上記の通信速度は理論値で、実際は電波法による制限がかかります。
※電波法の詳しい情報は、一般社団法人電波産業会(ARIB)サイトに掲載されています。
Wi-SUN FANは920MHz帯20mW以下の特定小電力無線局に属します。
局種 | 単位チャネル | 備考 |
---|---|---|
特定小電力無線局 (20mW以下のもの) |
中心周波数が、920.6MHz以上928MHz以下の周波数のうち920.6MHzに200kHzの整数倍を 加えたものであって、帯域幅が200kHzのチャネル |
設備規則第49条の14 |
出典:ARIBサイト「 About obtaining ARIB Standards (STD-T108) 」英語版
この条件では
空中線電力 | 適用CH番号/ 周波数 |
単位 チャネル 帯域幅 |
同時使用 チャネル |
キャリア センス 時間 |
送信時間制限 | 休止時間 | 1時間あたりの 送信時間総和 |
キャリアセンスを 除外する応答条件 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
完了時間 | 開始時間 | ||||||||
20mW以下 | 24~38/ 920.6MHz~ 923.5MHz |
200KHz | 1~5 | 5ms以上 | 4s | 50ms | なし | ― | ― |
33~61 922.4MHz~ 928.0MHz |
200KHz | 1 | 128us以上 | 200ms を超え 400ms 以下 |
送信時間の 10倍 |
360秒以下 または 720秒以下 (※2) |
50ms以下 | 2ms以下 | |
6ms を超え 200ms 以下 |
2ms | ||||||||
6ms 以下 | なし | ||||||||
2 | 3ms を超え 200ms 以下 |
2ms | 5ms以下 | ||||||
3ms 以下 | なし | ||||||||
3~5 | 2ms を超え 100ms 以下 |
2ms | |||||||
2ms 以下 | なし |
出典:ARIBサイト「 About obtaining ARIB Standards (STD-T108) 」英語版
表の黄色の部分が当てはまります。
注目したいのが「1時間あたりの送信時間総和(※2)」です。
電波法によって1時間あたりに送信できる時間(=データ量)が制限されているため、電波法の制限下では単位時間あたりの伝送速度がカギになります。
※1 :Wi-SUN FANの通信速度
2021年2月現在、日新システムズ製Wi-SUN FANでサポートしている通信速度。今後さらに高速になる予定。
※2 :1時間あたりの送信時間総和
もともと無線設備の1時間あたりの送信時間の総和が360秒以下という制限であったが、2020年の電波法改正により複数の無線チャネルを切り替えて使用する場合は720秒以下に変更。
Wi-SUN FANで周波数ホッピングを使用する場合には、720秒以下つまり20%に制限が緩和される。
少し難しいですが、150Kbpsの設定の場合
1つのデータを切り取ると150Kbps
1時間の平均でみると、150Kbps×10%となるわけです。
なるほど、1つデータを送るのでも必要になる時間が
短いほど制限にかかりにくいということですね。
特長を活かしたアプリケーション例
難しい話はこの辺りにして、アプリケーション例の紹介にいきましょう。
今回ご紹介するアプリケーションは"画像転送"です。
普段使っているWi-Fiの場合、当たり前のように画像転送できますが、LPWAの場合は通信速度と前述の電波法により、可能だけど時間が
かかったり特別な圧縮技術が必須といった制限がありました。
ですがWi-SUN FANは特別な圧縮技術を使用せずに数秒で画像の転送が可能なんです。
実際に画像転送デモを行いましたのでみていきましょう。
デモ構成
今回の構成は以下の通りです。
送信器側、受信器側のPCとUSB接続されたWi-SUN FAN端末は、1対1で接続するように設定しています。
各種設定
通信速度 300Kbps
使用チャネル 33~57(送信総和時間制限20%)
システムの説明
①送信器側のアプリケーションから送信する画像を選択(約50Kbyte)
②選択した画像ファイルを圧縮せずに、Wi-SUN FANで送信
③データの到達確認を行う
④受信完了したデータを表示
デモ構成
デモの内容はこちらで公開しています。
実際にWi-SUN FANで画像が転送できていることが確認できます。
結果
今回送信した画像データは約50Kbyte。14秒で送信完了しましたので
50K(byte) × 8(bit) ÷ 14 = 28.01Kbpsとなります。
送信総和時間制限を考慮した場合、理論的な最大実効伝送レートは60Kbpsのため帯域にまだ余裕があることがわかりますね。
このような画像転送を実現するには
高通信速度
数bpsの通信速度では実現不可能双方向通信
複数に分割して送信する必要があるため、到達確認が必須帯域の有効活用
限られた周波数帯域を有効活用し、電波法による制限の緩和
といった要件が必要ですが、Wi-SUN FANはこれらの要件を全て満たしています!
LPWAの規格を見渡しても必要な要件を満たしている規格は少なく、画像転送はWi-SUN FANの特長を活かしたアプリケーションと言えるでしょう!
今回のまとめ
☆ Wi-SUN FANはLPWAでは高速!
☆ 日本国内では電波法の制限が重要!
☆ 画像転送はWi-SUN FANの特長を活かしたアプリケーション!